Lightweight Language Future

8月30日に中野「ZERO]にて、Lightweight Language Future(LLFuture)が開催されました。なんというかもう、「言語」の祭典に800人を超える人が集まるなんていうのは、もうすごいというのを通り越して、驚愕でさえありますね。

http://ll.jus.or.jp/2008/

今回のテーマは「未来」でした。

プログラム的にはLarry Wallの基調講演にはじまり、

■LLで未来を発明する

「未来を予測する最良の方法は、未来を発明してしまうことだ」アラン・ケイの有名な言葉です。また,ポール・グレアムは「百年の言語 -The Hundred-Year Language」というエッセイを書き,百年後を予想して現在どの選択肢に賭けるべきかを考察しています。

このセッションでは言語設計者、処理系実装者に集まっていただき、次の3つの質問をパネラーにぶつけ,未来の言語、百年後の言語を「発明」していきます。

百年後の言語はどうなっていると思いますか?
1のために,あなたは今まで何をしてきましたか?
1のために,あなたはこれから何をしますか?
Larry Wall (Perl)
まつもとゆきひろ(Ruby) (ネットワーク応用通信研究所)
住井英二郎(MinCaml) (東北大学)
藤田善勝(Ypsilon) (リトルウィング)
ひげぽん(Mosh) (サイボウズ・ラボ)
司会: 今泉貴史(千葉大学)

■サイコー!?フレームワーク

あなたのお使いのフレームワークは「最高」ですか? ソフトウェア開発成功のために、適切なフレームワークを選定し使うことは、成功への鍵と言っても過言ではありません。本セッションではそんなフレームワークとの付き合い方を「再考」するべく、フレームワークに見識のある個性豊かな面々にお集まりいただきました。個性と個性がぶつかり合うこのセッション。無事に「催行」できることをお祈りください。

比嘉康雄(The Seasar Project)
能登信晴(MobaSiF)(DeNA)
吉田裕美(Gauche on Rails)
瀧内元気(Ruby on Rails)
司会: 佐々木健

■LLでアート

従来、ファインアートのような表現の領域とLL界は、互いに遠い存在でした。Web、音声、映像、デバイスを駆使した表現が、広義のスクリプトで実現できるようになってきております。本セッションでは、メディアアートの最前線を紹介します。

増田一太郎(メタファー)
真鍋大度(ライゾマティクス)
司会: 佐藤智昭(Tokyo.pm)

■キミならどう書く?

「キミならどう書く?」では温故知新に重きを置き、高級なLLを低級言語のように使いこなし、地球に優しい短いコードでプログラミングする「LL Golf」というプログラムを企画しています。ぜひみなさんも「LL Golf」で未来に向けてエコプログラミングをしてみましょう! 「LL Golf」の詳細やお題は下記をご覧下さい。

セッションでは短いコードという視点以外にも会場の人たちが楽しめるようなポイントについて論評していただく予定です。ぜひ、コードの記述や評価などにご参加ください!

西尾泰和(サイボウズ・ラボ / どう書く?org
松野徳大(モバイルファクトリー / Shibuya.pm
Yugui/園田裕貴(project Rottenmeier / Akasaka.rb)
浜地慎一郎(グーグル / ゴルフ場経営者)
司会: 高野光弘(日本UNIXユーザ会)

■古い言語、新しい言語

プログラミング言語は計算機デバイスの進化とともに誕生・発展してきました。古い言語はなぜ書きにくかったのか?OSと言語の歴史、パーサーの処理能力と計算機資源、テキスト処理アプリ、言語内DSLと開発者の怠惰の関係を振り返り、最近注目を集めているLLVMの実装とブラウザで動く ECMAScriptの処理系を見てみます。パネルディスカッションでは「iPhoneFlashゲームを動かすには?」というネタで、どこでもプログラミングできる環境の未来について語ります。

alohakun/若槻俊宏(北海道大学大学院情報科学研究科)
omo/森田創(コミュニティーエンジン)
yukoba/小林悠(アクセラートジャパン)
yossy/新藤愛大(BeInteractive!)
司会:TAKESAKO/竹迫良範(サイボウズ・ラボ)

■ライトニングトーク

LLイベントでも毎回お楽しみいただいているライトニング・トーク、今回は「過去のLLイベントで発表したことのない方」「『未来』を感じさせるテーマで発表してくださる方」「若い人(30歳以下)」といった、未来につながる何かがありそうな方の応募を優先的に受け付け、11本の発表を選びました。発表者が300秒という短い時間に込めた未来へのメッセージをお楽しみください。

追記: 主催者側の都合により発表を1本増やして11本としました。

twitter人工無能を作ろう!(予定): showyou(studio vesper)
Client-side database storageで実際にアプリケーションを作成してみた: 藤井太洋(e-frontier)
私は如何にしてNarioを作り、一面をクリアしたか: authorNari(ネットワーク応用通信研究所)
「Pit」で救う世界: 庄司嘉織(java-ja)
Babel21(仮) LLにLLを埋め込んでみた: yhara/原悠(ネットワーク応用通信研究所)
Ruby on Railsで実現する自走式Webサーバー: akio0911/佐藤伸吾(ケイビーエムジェイ)
ちょっと草植えときますね型言語Grass: うえのかつひろ(日本Grassユーザー会(仮))
Scilab数値計算: Y.Sawa(東京大学大学院)
Yet Another Prototype Oriented 〜NewtonScriptに見るもうひとつのプロトタイプ指向〜: GNUE/鵺
超未来言語 Gallina: yoshihiro503/今井宜洋(ocaml-nagoya)
未来の並列プログラミング言語としての Haskell: shelarcy
司会: 小山哲志(日本UNIXユーザ会)

という充実の内容でした。「キミならどう書く?」でゴルフの批評をしていた松野徳大さんにはいつも驚かされます。以前、Engineer25のインタビューにも出ていただきましたが、23歳とは思えない落ち着いた様子はさらに研ぎ澄まされており、圧倒されました。

竹迫良範さんが司会を務めた「古い言語、新しい言語」でのバクの話もうけました。こういう歴史を振り返ると未来が見えるヒントになりそうですね。

こう見ていくと、実行委員の中にWebエンジニア武勇伝の出ていただいた方が、柴田淳さん、小山哲志さん、竹迫良範さん、蓑輪太郎さん、高橋征義さんなどなど多数いてびっくりというか嬉しいですね。インタビューした皆さんとあちらこちらでお会いできるのは本当に楽しいですからね。

最後のライト二ングトークは、半数の方がかなりの受け狙いをされていて面白かったですね。ウェブキャリアの親会社であるKBMJの佐藤伸吾さんの「Ruby on Railsで実現する自走式Webサーバー」も大うけでしたね。

今回は、実行委員の皆さんにご配慮いただき、後援企業ということにもさせていただけました。おかげで余るではと心配されていた団扇も約900本も使っていただくことができ、本当にうれしい限りです。団扇を配るというのもありましたが、受付でテレビでも講演が聴けるので、大半を受付で過ごさせていただきました。帰り際のMatzからも「川井さん、ずっとここにいるんですか?」と聞かれる始末でしたが、スタッフの方ともいろいろお話させていただき、楽しく過ごさせていただきました。

皆さん、本当にありがとうございました。来年もまた来たいですね!