Rubyの将来に向けてちょっと思ったこと

21日の夜にHISCO(ハイテクノロジー・ソフトウェア開発協同組合)の東京支部会で同会の中心的存在である株式会社ズィット(Zit)の水谷時雄社長からお声掛けをいただき、「Ruby」について話をさせていただきました。

http://www.hisco.jp/

http://www.zit.co.jp/

そもそもウェブキャリアでは、経営理念と思想が一致する「Ruby」を掲げてはおりますが、私自身は開発経験もない身で、ご自身がもともとエンジニアであるようなSierの社長が集まるような会でお話するのはいかがなものかとは思っていましたが、あえて経営者視点で「Ruby」の話をしてほしいとのことでしたので、「技術的質問はご容赦ください(笑)」と開き直ってやってきました。

内容的には、Rubyそのものについて、Rubyの特徴やら歴史、そしてRubyが現在、どういった企業でどのように使われているか、またRubyが今後もっと一般的に使われるようになるためにはどのような課題をクリアしなければならないのかということについてお話をさせていただきました。もちろん、持論を展開できる立場でもないし、見識もないので、書籍から引用させていただいたり、最近、「追っかけ」のようにお聞きしているMatzの講演スライドからお借りしました。

いろいろなフィードバックをいただいたのですが、一番多かった声が、

「もっとRubyの得意な部分や、何に向いているのかを明確に示してアピールしてもらえれば」

「導入した際のメリットをもっと分かりやすくメッセージしてほしい」

というものでした。生産性が高いとか概念的なことは出回っていますが、実際に使っているプログラマ以外の経営者層には、具体的な得意領域やどれほどのパフォーマンスを発揮するかを明確に示してもらわないとRubyの良さが伝わらない(=リスクを冒してチャレンジできない)ということでした。性能もどんどん向上し、機能も追加しており、実績も徐々に増えてきているのですから、それをもっと分かりやすい形にして出していけるといいんでしょうね。もちろん、いろいろ出ているのは事実ですが、実際は伝わっていないのが現状だと思うのです。

確かにコミュニティドリブンできているのもあり、戦略的なマーケティングというよりは自然発生的なマーケティング施策になっているので、そのあたりは弱いというのはあるかのかなと再度、実感いたしました。やりたいことをやることと大きな目的の達成のための施策とは結果的に異なるケースが多いので、このあたりのプロモーションは一考が必要なのではと思いました。

とはいえ、そもそもコミュニティはエンジニアの集まりですから、本来、そのマーケティング部分は我々企業側の役割なのかもしれません。そういう意味では、企業がビジネスとしてコストを負担するというのもありだとは思いますが、コミュニティに企業がもっともっと積極的に参加するというのが、よりよいRubyのコミュニティ活動の在り方なのではないかと感じました。

そんな生のSIerの経営者の本音が聞けたという意味で昨夜はとても成果があったと思います。12月にRuby1.9もリリースされますし。来年あたりが本当にRubyにとって大切な年になりそうです。Rubyマーケティングの一貫としての「日本Railsカンファレンス」実現なども含めて、ウェブキャリアをして何ができるのか考えていきたいと思います。