村上春樹 「1Q84」完読

siroi_mogutan2009-06-29

村上春樹さんの「1Q84」を完読しました。休みにBOOK2に入り、一気に読み上げてしまいました。

BOOK1の最終章近くから「青豆」と「天吾」の2つのストーリーが徐々につながりはじめます。そして接近しては、離れ、ニアミス的な接点を持ちながらも結果的にはつながらないまま終焉を迎える。

なんとも味のある展開ですが、もう1つ村上流の「観念的」という表現技法も読者の創造性を膨らませるという役割を見事に果たしています。

このストーリーはおそらくは10歳の頃にとある出来事で心がつながった青豆と天吾の惹かれあいながらもつながれないというストーリーだと思いますが、2人の間に登場する2つの月がある1984年ではない1Q84年はもちろんのこと、登場する宗教団体、17歳の美少女の「ふかえり」によるべストセラーの小説、そして天吾とふかえりの「おはらい」と称した性交などはすべて、観念的なもので現実ではないという解釈もできます。

村上さんの小説の特徴はこうした観念的なものを現実的な何かに置き換えたり、幻想的SF的な見せ方をしたりというところではないでしょうか。そしてその結晶は「不思議な現実」となり読者に読み応えを与えるのでしょうね。

また村上さんの小説には、村上さん自身が愛する音楽がたくさん登場するのも特徴です。今回は、ヤナーチェックの「シンフォニエッタ」が結構キーにもなっていますが、これやっぱり聴きたくなりますね。これで結構売れたりするんでしょうね。

いやはや1週間で100万部のベストセラーに違わぬ作品でした。是非皆さんも読んでみてください。