夜は短し歩けよ乙女

siroi_mogutan2009-01-10

以前から気になってはいた森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」が文庫になったので、買ってみました。この小説は舞台が京都というのが一番興味があったところではありますけどね。。。

意外だったのは、タイトルの小説は短編だったことでした。てっきり長編かと思っていたので、少し拍子抜けの部分もありましたが、先斗町を舞台にしたテンポよくリズミカルな短編は切れ味がありました。内容的には先斗町での一夜ののん兵衛たちの話なのですが、主人公のキャラや周辺の大人のエゴとかがちょっと変わっていて面白い。また、いわゆるカットバック方式とは違うのですが、ややそれを意識した視点の切り替えにより、2人の人物から見たストーリーを徐々に重ね合わせていく設計の妙というところでしょうか。

伊坂幸太郎作品でも同じような形になるのですが、これだけ短編の中でカットバック風の2視点からのストーリーを徐々につむぎ合わせて、終盤に向けて、その交差度合を高めていくというのは、なかなかの技術と見ました。

他の短編も楽しみです。