悼む人

siroi_mogutan2009-02-01

今期の直木賞受賞作の1つである天童荒太さんの「悼む人」を読み終えました。TVドラマにもなった「永遠の仔」の作者でもある天童さんが7年の歳月をかけて書き上げた話だけあって、重たいのなんの・・・かなり読むのにパワーがいりました。

ストーリーは「悼む人」を中心に、その目撃者、保護者、随伴者、偽善者、代弁者、傍観者、捜索者、介護者、理解者というように周囲の人々の立場ごとに構成されており、並行に走っていきます。

人の死を悼んで日本中を旅する「悼む人」、末期癌で鬼籍の人になろうとしているその母、新しい命を身ごもったその妹など、命が交錯するこのストーリーは、重たい中にも微妙なスピード感があって、読者をひきつけます。生きることの重たさを、また死ぬことのはかなさを、そして命の尊さを問われているのではないでしょうか。

癒されるような、何かが救われるような、そんな気持ちにさせられる読み応えのある1冊でした。